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CdA とは何か:なぜバイクパートの時間の大半を決めるのか

2026-09-03・羅譽寅(Lo U Ian)

まず私自身の数字から話します。2026 年 5 月、私はベトナムでフルディスタンス(226 km)のレースを走りました。レース前に「ポジションから表で引いた」CdA で計算したバイクパートの時間は、実際と 8.1% ずれていました。レース後、当日のパワーファイルをエンジンに読み込ませ、ファイルから私自身の CdA を逆算してもう一度計算すると、差は 1.6% まで縮まりました。同じコース、同じパワーで、途中で変えたのは数字ひとつだけです。

その数字が CdA です。

CdA とは何か

CdA は二つの値の積です。Cd は空気抵抗係数(drag coefficient)、A は前面投影面積(frontal area)です。単位は平方メートルで、「真正面から見たときに、あなたと自転車を合わせて空気の中で押しのけている面」だと考えてください。数字が小さいほど、同じパワーで速く走れます。

なぜそれほど重要なのか。パワーがどこへ行くかを見れば分かります。68 kg の選手に 9 kg の自転車、平坦・無風で 200 W を踏むと、エンジンが計算する巡航速度は 37.4 km/h です。そのうち 168 W が空気を押しのけるために使われ、タイヤの転がり抵抗に使われるのは 27 W だけです。力の 86% が空気との戦いに費やされ、しかも空気抵抗は速度の 3 乗に比例します。速度が 10% 上がるごとに、空気を押すパワーは 33% 増えます。

TT バイクにエアロヘルメットの組み合わせなら、典型的な CdA はおよそ 0.25、ロードバイク+クリップオン DH バーで約 0.285、ロードバイクの下ハンで約 0.32、ブラケットに手を置くと一気に 0.40 まで上がります。これは身長 175 cm、体重 72 kg の参考値で、体が大きいほど、また低い姿勢が取れないほど、数字は大きくなります。

0.01 の差はどれだけの時間か

エンジンで一度回せば分かります。同じ選手、一定パワー 200 W、平坦・無風の 90 km:

2:102:152:202:252:302:352:400.200.220.240.260.280.300.32トライアスロンバイク 0.25・2:24ロードバイク+クリップオン DH バー 0.285・2:30ロードバイク下ハン 0.32・2:35横軸 CdA(m²)、縦軸 90 km バイクパート時間(h:mm)・68 kg 選手+9 kg 自転車、一定パワー 200 W、平坦・無風 21°C
CdA が 0.01 違うごとに、90 km で約 1.8 分の差が出ます。180 km・一定パワー 180 W なら約 3.7 分です。曲線は直線ではなく、CdA が小さくなるほど、0.01 あたりで得られる時間は少なくなります。

トライアスロンバイクのポジションで 0.25 から 0.22 に改善すると、90 km で約 6 分縮まります。これはヘルメットを替える、DH バーを低くする、ボトルをフレームからサドル後方に移す、といったことで起こりうる話で、あなたの FTP は 1 W も変える必要がありません。

なぜ表を引くだけでは足りないのか

表が教えてくれるのは「あなたのようなポジションの人なら、だいたいこの範囲に入る」ということで、その範囲はおよそ ±15% です。フィニッシュタイム予測に使うと、CdA の ±15% はおよそ時間の ±5% にあたり、226 km のレースなら 30 分の差になります。私のベトナムでの 8.1% はこうして生まれました。私の実際の CdA は表の値よりかなり低く、エンジンは私を遅く見積もっていたのです。

本当の数字が手に入る場所は二つしかありません。一つは風洞です。226 km を 8 時間 17 分で完走した選手が、2026 年 1 月に香港科技大学の風洞で 0.212 を計測しました。もう一つは、あなた自身のレースファイルからの逆算です。AeroPacer が同じ選手の半年後の IRONMAN Hamburg のパワーファイルから算出した値は 0.214 で、風洞との差は 0.8% でした。風洞は予約も費用も必要ですが、パワーファイルはもともと手元にあります。

パワーファイルからどうやって算出するのか

原理はパワーの収支です。サイコンには毎秒のパワー、速度、勾配が記録されています。空気密度は当日の気温と気圧から計算し、転がり抵抗はタイヤの銘柄から引きます。パワーから登坂、転がり、加速の各項目を差し引くと、残りが空気を押しのけているパワーで、そこから逆算して CdA が求まります。

実際には、推定値を狂わせる要因がいくつかあります。それが、ある推定値を信頼できるかどうかを私たちが判断する根拠でもあります:

  1. ドラフティング。 他人の後ろにつくと空気抵抗は 3 割減り、算出される CdA は見かけ上低くなります。集団走行のファイルは使えません。
  2. 風。 向かい風の区間と追い風の区間では、それぞれ算出される CdA が大きく違います。AeroPacer は当日の時間ごとの風向で補正し、往路と復路をペアリングして風の影響を打ち消します。
  3. ポジションの変化。 長距離レースの後半で頭が上がる、肩がすくむ、DH バーから手が離れる。そうなると CdA は変わります。私たちは一つのレースを区間に分けて前後の差を見ます。後半が前半より数パーセント高ければ、たいていはポジションが崩れています。
  4. 標高記録の故障。 気圧計に水が入ったファイルは、勾配が全区間信頼できず、重力の項が推定を狂わせます。こうしたファイルは保管はしても、収束には使えません。

一つのレースファイルから推定した CdA には当日の天候による誤差が含まれます。だから積み重ねが必要です。複数のファイルを精度で重み付けして収束させると、信頼帯はファイル数が増えるほど狭くなり、収束値はどの単独の推定よりも安定します。

使えるファイルはどうやって手に入れるのか

レースファイルがなくても大丈夫です。次のように一度トレーニングで走れば手に入ります:

  • 平坦で風の弱い日に、20 分以上の安定した巡航。
  • 同じ区間を往復 2 本ずつ走り、システムが逆方向の区間をペアリングして風を打ち消せるようにする。
  • 装備はレースと同じにする。ヘルメット、ホイール、ウェア、ボトルの位置もすべて空気抵抗の一部です。
  • 全行程でレースのポジションを保ち、ドラフティングはしない。

推定した数字をプランに反映してもう一度レースを走り、レース後に当日のファイルを送って比較します。あなたの CdA はどんどん正確に収束し、エンジンの計算もあなた自身に近づいていきます。

私のベトナムでの 8.1% は、時間にすると 22 分です。この 22 分、エンジンは物理を間違えたわけではありません。ただ私のことを知らなかっただけです。

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