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CdA はいくつなら良いのか:トライアスリート 8 人、71 本のファイルの実際の分布
今年の 4 月と 5 月、私は自分のトレーニングファイル 5 本を AeroPacer にアップロードしました。算出された CdA は最低 0.218、最高 0.297。同じ人間が同じトライアスロンバイクに乗って、最高値は最低値より 36% 高かったことになります。同じ時期に私はフルディスタンス(226 km)のレースに 2 回出ていて、そのレースファイルから算出した値は 0.202 と 0.223。どちらも 5 本のトレーニングファイルの中央値 0.230 より低い数字でした。
だから「CdA はいくつなら良いのか」と聞かれたら、私はまずこう聞き返します。比べているのは、どの種類のファイルから出した数字ですか。
CdA とは何か、パワーファイルからどう求めるかは「CdA とは何か」で説明しました。この記事ではすぐに数字を見ていきます。
サイト上の数字はどうなっているか
AeroPacer のデータベースにある CdA 推定をすべて取り出し(データは 2026 年 10 月 19 日時点)、品質基準を満たしたものだけを残しました。同じファイルが 2 つのアカウントからアップロードされていた場合は 1 本として数えています。Zwift のようなバーチャルライドには本物の風がないので、システムが最初から受け付けておらず、ここにも入っていません。最終的に残ったのは 71 本のファイル、選手 8 人分で、そのうち 70 本はトライアスロンバイクか TT バイクで走ったものです。
これは個人が特定できないように処理した集計統計です。冒頭の私自身のファイルを除き、以下で示すのは人数、ファイル数、中央値、範囲だけです。どの選手の個別の数字も載せず、誰のデータかが分かるようにも書いていません(方法はプライバシーポリシーを参照)。
| トライアスロン/TT バイク | 選手 | ファイル | 中央値 | 中央半分の範囲 |
|---|---|---|---|---|
| トレーニングファイル | 6 | 25 | 0.234 | 0.222〜0.258 |
| レースファイル(すべて) | 6 | 45 | 0.224 | 0.211〜0.246 |
| レースファイル(2025 年以降) | 6 | 21 | 0.215 | 0.202〜0.234 |
中央値は、すべてのファイルを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る値です。「中央半分」は、いちばん低い 4 分の 1 といちばん高い 4 分の 1 を取り除いたあとに残る範囲です。
トライアスロンバイクに乗っていて、トレーニングファイルから出た数字が 0.22 から 0.26 のあいだなら、このグループの中央半分に入ります。0.22 より低ければ上位、0.26 より高ければ、ポジションと機材を見直す価値があります。
このグループは速いほうに偏っています。8 人の多くは私が指導している選手で、私自身も含まれています。ポジションも機材も何度も調整してきました。一般のエイジグループ選手なら、中央値はたぶんもう少し高くなります。それに 8 人では少なすぎます。この表は大まかな物差しとして使うだけにしてください。順位をつけるには正確さが足りません。
レースファイルはなぜ低く出るのか
レースファイル全体の中央値は、トレーニングファイルより 0.010 低くなっています。2025 年以降のレースだけで見ると、差は 0.019 まで開きます。思い当たる理由は 3 つあります。
- レース当日は機材が違います。ディスクホイール、エアロヘルメット、ワンピースのトライスーツを、トレーニングで全部そろえて使うことはあまりありません。
- レースのほうが、DH ポジションをずっと保とうとします。トレーニングでは、走っているうちに顔を上げたり、上体を起こしたりすることがよくあります。
- レースでは、前に常に誰かがいます。ルールどおりに距離をとっていても、前の選手がすでに空気を少し押しのけているかもしれません。
このデータでは、3 つの理由がそれぞれどれだけ効いているかまでは分かりません。比べるときに混ぜなければ、それで十分です。トレーニングファイルを他人のレースファイルと比べれば、自分がひどく劣って見えます。トレーニングファイルの CdA でレースプランを組めば、予想タイムが遅めに出るかもしれません。CdA 分析ページでは、記録ごとに「レース」か「トレーニング」のタグを付けられ、一覧も分けて絞り込めます。
同じ人でも CdA は動く
サイト上の 3 人の選手は、レースファイルが何年にもわたって積み上がっているので、同じ人の変化を前後で比べられます。それぞれ 2025 年より前と 2025 年以降のレースで中央値を取って比べると、3 人とも 2025 年以降のほうが 0.03 前後低くなっています。ここでは集計だけを示し、個人の年ごとの数字は載せません。
この記事の後半にあるエンジンの表と同じ条件で計算すると、CdA が 0.25 から 0.22 に下がれば、フルディスタンスを 165 W で走って約 12 分速くなります。その間に何が変わったのかは、パワーファイルだけでは分かりません。バイクかもしれないし、ヘルメットや DH バーの高さかもしれないし、単に走り込むうちに伏せるのがうまくなっただけかもしれません。確かなのは、CdA が機材とポジションに合わせて変わり続けるということです。今年 0.26 だったからといって、来年も 0.26 とは限りません。
トライアスロンバイクなら CdA が低いとは限らない
逆の例もあります。サイト上にも、トライアスロンバイクに乗っているのに、トレーニングファイルの CdA が表引きの「ロードバイク+クリップオン DH バー」の 0.285 よりも高く出ている人がいます。
理由はパワーファイルだけでは見分けられません。座る位置が全体に高すぎるのかもしれないし、DH バーを高く上げすぎているのかもしれないし、そもそもトレーニングではほとんど伏せていないのかもしれません。パワーファイルから分かるのは、その 1 本でどれだけの空気を押しのけたかだけで、バイクの上の姿は見えません。それを見分けるには、走っているときの写真か動画が必要です。車種で決まるのはスタート地点だけで、CdA が最終的にどこに落ち着くかは、バイクの上でどう伏せるかで決まります。
ロードバイクなら、まず表引き
サイト上でロードバイクのファイルは 1 本だけです。1 本では分布になりませんし、それだけを取り出して論じるべきでもありません。なのでロードバイクについては、表引き値と、海外でよく引用される範囲しか示せません。
| ポジション | サイト上のファイル | 表引き値(175 cm、72 kg) | 一般的な範囲 |
|---|---|---|---|
| ロードバイク(ブラケット) | 0 | 0.400 | 0.32〜0.40 |
| ロードバイク(下ハン) | 0 | 0.320 | 0.28〜0.36 |
| ロードバイク+クリップオン DH バー | 1 | 0.285 | 下ハンとトライアスロンバイクのあいだ |
| トライアスロン/TT バイク | 70 | 0.250 | 0.20〜0.26、プロ選手は約 0.18〜0.21 |
一般的な範囲は、海外の風洞テストや実走テストでよく引用される数字です。出どころによって 0.02 から 0.04 ほど違うので、目安として見てください。サイト上のトライアスロンバイクのファイル 70 本の中央半分は 0.215 から 0.247 で、ちょうど 0.20〜0.26 の中に収まっています。
体格はまず換算する
CdA は面積なので、体が大きいほど正面でさえぎる空気も多くなります。AeroPacer は表引きのときに身長と体重で換算しています。175 cm、72 kg を基準に、160 cm、55 kg の人は 0.87 倍、185 cm、85 kg の人は 1.09 倍です。
仮に 185 cm、85 kg の選手がトライアスロンバイクで 0.26 と出たとします。標準体格に換算するとおよそ 0.24 で、実は中央半分に入っています。人と比べる前に、まず体格を換算してください。
CdA が 0.01 下がると何分になるか
エンジンで計算します。条件は、体重 68 kg の選手と 9 kg のバイク、平坦、無風、21°C、海面高度で、CdA を 0.24 から 0.23 に下げた場合です。
| 距離 | 平均パワー | バイクパートのタイム(CdA 0.24) | 0.01 下げたときの短縮 |
|---|---|---|---|
| 70.3(90 km) | 160 W | 2:36 | 2.0 分 |
| 70.3(90 km) | 190 W | 2:26 | 1.9 分 |
| 70.3(90 km) | 220 W | 2:18 | 1.8 分 |
| フルディスタンス(180 km) | 140 W | 5:28 | 4.3 分 |
| フルディスタンス(180 km) | 165 W | 5:08 | 4.0 分 |
| フルディスタンス(180 km) | 190 W | 4:52 | 3.9 分 |
遅い人ほど、短縮できる時間はむしろ多くなります。フルディスタンスを 140 W で走る人は 4.3 分縮まり、190 W の人より 0.4 分多くなります。遅い人はコース上にいる時間が長いので、1 km ごとのわずかな短縮が積み重なって大きくなります。
CdA が低いほど、0.01 あたりで得られる時間も多くなります。同じ 70.3・190 W でも、0.30 から 0.29 に下げると 1.7 分、0.21 から 0.20 に下げると 2.1 分の短縮です。0.21 に対する 0.01 の割合のほうが、0.30 に対するよりも大きいからです。ただ、下がるほど下げにくくなります。0.30 の人にはたいていポジションを調整する余地がまだありますが、0.21 まで来ると、変えられるところはもうあまり残っていません。
前の表の数字を当てはめてみます。トレーニングファイルの中央値 0.234 から、2025 年以降のレースファイルの中央値 0.215 までは 0.019 の差で、70.3(190 W)なら 3.8 分、フルディスタンス(165 W)なら 7.9 分にあたります。ロードバイク+クリップオン DH バーの表引き値 0.285 からトライアスロンバイクの 0.25 に替えると、70.3 で 6.2 分、フルディスタンスで 13 分速くなります。
自分の数字が出たら
- まず自分と比べてください。平坦で風が弱く、最初から最後まで DH ポジションで走ったファイルを 3 本以上ためて、真ん中の数字を見ます。1 本だけを見て判断しないこと。CdA 分析にアップロードすれば、記録ごとに品質が表示され、品質が足りないものはあなたの収束値に入りません。
- 人と比べるときは分けて比べます。トレーニングファイルはトレーニングファイルと、レースファイルはレースファイルと比べ、体格は先に換算します。
- トライアスロンバイクのトレーニングファイルが 0.26 を超えたら、まずポジションと機材を確認します。0.20 を下回ったら、まずデータを疑ってください。ドラフティングしていないか、サイコンの標高記録が壊れていないかを見ます。
冒頭の 5 本のファイルに戻ります。0.218 から 0.297。このうち 1 本だけを選んで人と比べれば、自分は上位だとも言えるし、ポジションを直すべきだとも言えます。どちらの言い方にも数字の裏づけがあります。だから私は、1 本のファイルだけから出した CdA で結論を出しません。見るべきなのは、それをあなた自身のほかのファイルと並べたときに、どこに位置するかです。
