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速い IRONMAN コースはどこか:スピードスコアの計算方法

2026-09-03・羅譽寅(Lo U Ian)

レースを選ぶとき、「このコースは速いのか」は、たいてい人づてに聞いた話で判断しています。Kona はきついと言う人もいれば、澎湖は平坦だと言う人もいます。どちらも半分しか当たっていません。Kona の地形は実はそれほどきつくなく、きついのは風と暑さです。澎湖はたしかに平坦ですが、4 月に季節風が吹く日は、まるで登りを走っているような感覚になります。

スピードスコアは、こうした曖昧な印象を、コース同士で比べられる数字に置き換えたものです。

スコアの決め方

どのコースも 100 点から始まり、4 つの項目で減点します。下限は 30 点です。

項目 減点の計算 上限
地形 1 km あたりの平均獲得標高(m)× 1.8 −30
テクニカル(カーブ) 減速が必要なカーブの密度 × 0.13 −12
暑さ レース当日の気温が 24°C を超えた分は 1°C につき × 1.2、10°C を下回った分は 1°C につき × 0.5 −14
風 レース当日の代表的な風速(m/s)× 2.2 −16

100 点は、速く走るのに理想的な条件、つまり平坦で涼しく、無風でカーブが少ない状態です。90 点以上が超高速コース、80〜89 が高速コース、70〜79 が標準コース、60〜69 がハードコース、60 未満が超ハードコースです。

4 項目で上限が違うのは意図的です。地形の比重がいちばん大きいのは、登りでは実際に余分なエネルギーを使い、ポジションや機材ではごまかせないからです。テクニカル(つまりカーブ)の上限がいちばん低いのは、カーブでの減速は数秒単位の積み重ねで、それだけでコースがハードになることはまずないからです。

各項目が見ているもの

地形で見るのは、総獲得標高ではなく「1 km あたり何 m 登るか」です。180 km で 1,800 m 登るのも、90 km で 900 m 登るのも、平均すれば 1 km あたり 10 m なので、減点は同じです。こうすることで、フルディスタンスと 70.3 を同じ表で比べられます。

テクニカルはカーブの項目で、数えるのは「本当に減速が必要なカーブ」だけです。ひとつの区間内で進行方向が 25 度を超えて変わる場合だけを数え、田舎道の自然な緩いカーブは減点しません。Uターンは 1 回で 180 度になるので、何周も回り、Uターンを繰り返す市街地コースは、この項目の減点が大きくなります。

このルールは一度改定しています。きっかけは Challenge Roth でした。初期のバージョンではドイツの田舎道の自然なカーブまですべて数えていたため、Roth は 15 点も減点され、高速コースとして知られる実態とまったく合いませんでした。減速が必要なカーブだけを数えるように改めたところ、Roth のテクニカルの減点は 3.5 まで下がりました。

暑さと風には、そのレースの直近 5 年の同じ時期の実測天候の平均を使います。データ源は気象機関による長期観測の再解析データなので、そのレースの開催回数とは関係ありません。初開催のレースでも、開催日さえわかれば初日から完全なスコアが出ます。ダッシュボードで正確なレース日を選ぶと、この 2 項目は当日の予報に置き換えて再計算されます。

暑さの減点について、ひとつ正直に書いておきます。同じパワーなら、気温が高いほど空気の密度が下がるので、実はわずかに速く走れます。暑さの本当の代償は体のほうにあり、維持できるパワーが落ちることです。だから暑さは完走タイムの計算には入れず、このスコアにだけ反映しています。

7 つのコースで見る

地形減点テクニカル減点暑さ減点風減点IRONMAN California・Sacramento92IRONMAN 70.3 Türkiye・Belek89IRONMAN 世界選手権・Kona81Challenge Taiwan・台東 22679IRONMAN 70.3 台湾・墾丁70IRONMAN France・Nice59IRONMAN Lanzarote57バーの長さ=4 項目の減点合計、右の数字=スピードスコア(100 − 減点)
バーの長さは 4 項目の減点の合計、色は各項目の内訳です。Kona は地形の減点が 11 点だけですが、Nice と Lanzarote はどちらも 25 点以上です。墾丁は風の減点が上限の 16 点に達しており、7 つの中でいちばん風の影響が大きいコースです。

この図を見ると、同じ 70 点前後のコースでも、減点の理由がまったく違う場合があるとわかります。台東のフルディスタンスは地形と風の両方で減点され、墾丁はほぼすべてが風による減点です。同じ選手がこの 2 つに出るなら、練習すべきことも違います。片方はアップダウンでのパワーコントロール、もう片方は向かい風に耐えるポジションとメンタルです。

このスコアが答えないこと

比べているのは「このコースで速く走りやすいかどうか」であって、「あなたがどれだけ速く走れるか」ではありません。あなたの完走タイムは、パワー配分から計算するものです。スコアが答える問いはひとつだけ。同じ実力なら、どのコースのほうが良い記録を出しやすいか、です。

わかっている限界もあります。天候は 1 地点のデータを、バイクパートの時間帯で平均したものなので、局所的な強風区間は過小評価されます。Kona の Hawi へ向かう区間の横風がその典型で、実際にはスコアから受ける印象よりずっと強く吹きます。この項目は今後、複数地点でのサンプリングに切り替え、アップロードされた実走ファイルでも補正する予定です。改善したら、この記事も更新します。

ランキングはこちら:コースランキング。地域と月で絞り込めます。スコアの横にある検証バッジは、そのルートの出どころを示します。公式ルート、実走で検証済み、コミュニティの公開ルート(未確認)のいずれかです。

最終的には、コース選びは自分の強み次第です。スコアが教えてくれるのは、そのコースが何を求めているかまで。それが自分にあるかどうかは、あなた自身がいちばんよく知っています。

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